クリーン度とロングストークの試験で分かる「ThomPod」&「Thom PodFlat」の実力
2022/08/09
- Thomas Engineering
増田 将吾
【目次】
従来のケーブルベアシステムとThom Podシリーズの違いを復習
Class1に対応! Thom Podシリーズのクリーン度の試験
ロングストロークに対応するThompod Flatの耐久試験も
従来のケーブルベアシステムとThom Podシリーズの違いを復習
こんにちは。技術部の増田です。だいぶ時間が空いてしまいましたが、低粉塵ケーブルドラッグチェーン「Thom Podシリーズ」の3回目をお届けします。
その前に、これまでの簡単なおさらいをしましょう。
第1回目は、Thomas Engineering社の紹介と製品の概要について触れ、第2回目は世代間による製品の進化と構造上の違いなどについて解説しました。
Thomas Engineering 第1回目:韓国・Thomas Engineering社の低粉塵ケーブルドラッグチェーン「ThomPod」(特許)!
Thomas Engineering 第2回目:低粉塵ケーブルドラッグチェーン「ThomPod」&「Thom PodFlat」は、なぜ凄いのか?
Thom Podシリーズの最大の特徴は、半導体装置・OLED・医療機器などの製造装置用として、パーティクルを外に出さないクリーンな設計を重視している点です。
もう1つの大きな特徴は、セルフサポートで最大6mのロングストロークで稼働できることです。
長尺の装置で、ヘッド部の稼働領域が長くなるほど、ケーブルからパーティクルがたくさん出る可能性があります。
そういった場所で低粉塵が求めれる場合に、Thom Podシリーズが適しています。
TEC社の先進的なケーブルドラッグチェーン「Thom Podシリーズ」
Thom Podシリーズは、「ミニチェーン」と呼ばれる小さいドラッグチェーンと、独自のPOD(特殊外皮)を採用しており、このPODの中にミニチェーンやケーブルを入れ、密封構造にすることで、低振動・低騒音・低粉塵を実現しています。
今回は、Thom Podシリーズの2つの特徴であるクリーン度とロングストロークに絞って、どんな試験をクリアしているのか、その品質について紹介したいと思います。
Class1に対応! Thom Podシリーズのクリーン度の試験
まずは、Thom Podシリーズのクリーン度について説明します。
本製品は、クリーンルーム(Class 1)に適合しています。
TEC社では、ISO14644-1に基づき、Thom Podシリーズと従来のケーブルドラッグチェーンを比較したテストを実施しています。
テスト装置は以下の通りです。
クリーン度試験装置の外観。Thom Podと従来製品で20万サイクルずつ稼働
ここでは、それぞれを20万サイクルずつ稼働し、ケーブル表面の組成がどう変化したのかを調べています。
その計測結果を以下に示します。
テスト後にファイバースコープでケーブル表面を拡大した画像を見ると、Thom Podシリーズは特に変化がないように見えます。
クリーン度試験の結果。ケーブルの外観と組成変化を調査。Thom Podでは、ほとんど発塵はないことが分かった。
さらにフーリエ変換赤外線分光光度計・FT-IRを使用して、ケーブル表面の組成を調べると、従来のケーブルドラッグチェーンは100%がポリウレタンで、Thom Podシリーズのほうはセルロース60%、ナイロン20%、プロテイン20%という組成でした。
ケーブルドラッグチェーンの場合は、ケーブル外皮の成分であるポリウレタンのみが検出されています。
これはケーブルの外皮が摩擦で削れて、ベア表面に出てきたものと推測できます。
一方、Thom PodシリーズのPOD部材はフッ素樹脂のPTFE(polyethylene)やePTFE(expansion polyethylene)ですが、分析結果からは成分が検出されていません。
したがってケーブル外皮からの発塵がないことが分かります(発塵由来でないセルロースやナイロンなどは微量に検出)。
ちなみにISO14644-1では、1m3(1立方メートル)の中に、0.1μm以上の粒子数がどのくらい含まれるかでクリーン度のClassを規定しています。
Class1では0.1μmの粒子が10個以下、0.2μm以下の粒子が2個以下となり、Thompod製品はClass1の基準値をクリアしています。
ISO14644-1ベースのクリーン度の規定。Thom PodはClass1をクリアしている。
ロングストロークに対応するThompod Flatの耐久試験も
もう1つの特徴のロングストロークですが、最近のFPD(フラットパネルディスプレイ)や半導体の製造装置では、より長いストロークでヘッド部を稼働させる必要があります。
そこでTEC社では、標準のThomPodに加えて、内部構造を4層から3層構造に改良し、スペースを30%ほど減少させた「ThomPod Flat」も開発しています。
Thom Podと、改良を加えたThom Pod Flatの構造の違い。4層から3層になり、スペースも約30%減になった。
ロングタイプの耐久性については、多様なカスタマイズ製品で試験を繰り返しています。
たとえば、トラべル長3000~5000mm(ストローク4400mm)のThomPod Flatでエイジング試験を実施しましたが、いまのところ特に問題はありません。
ThomPod Flatでエイジング試験の一例。5mものロングストロークで稼働を繰り返しても問題はない。
このようにThomPodシリーズは、稼働のストロークが長尺になっても対応でき、Class1のクリーン度にも対応する次世代のケーブルドラッグチェーンと言えるでしょう。
本製品にご興味のある方は、ぜひ弊社までご連絡下さい。
今回ご紹介した「クリーンルーム用ケーブルベア」の |
増田 将吾プロダクトマネージャー
主にMurrplastikやBinderを担当しています。
ヨーロッパの優れた製品を幅広く皆様にご紹介していきたいです。
週末にはボルダリングジムに通って汗を流しています。
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