【第4回】産業用ケーブル入門|可動ケーブルとは?その選び方まで解説!
2025/07/31
- LAPP
ケーメックスAT テックプラス編集部
産業用機械の性能を最大限に引き出すには、用途に合ったケーブル選びが重要です。これまでのシリーズで、「動力・電源ケーブル」「制御ケーブル」「データケーブル」という3種類の産業用ケーブルをご紹介してきました。
第4回目の今回は、可動用途に適したケーブル選定のポイントについて解説します。
【目次】
可動ケーブルとは?
可動ケーブルの選定のポイント
曲げ半径
捻じれ確度(トルク)
可動速度
繰り返し屈曲回数
使用環境
柔軟性を決める「素線構成(ストランディング)」とは?
使用環境に応じた最適な撚線構造の違い
ケーブルベア用途:高い屈曲耐性と直線運動への最適化
ロボット用途:ねじれ耐性を重視した構造設計
【製品紹介】用途別に選べるÖLFLEXケーブルシリーズ
1. Basic-Lineシリーズ(Class 5対応)
2. Core-Lineシリーズ(Class 6対応)
3. Extended-Lineシリーズ(Class 6上位)
まとめ
可動ケーブルとは?
可動ケーブルとは、繰り返し曲げやねじれといった動きが加わる環境でも劣化しにくい構造を持つ産業用ケーブルです。固定ケーブルが設置後に動かさない前提で作られているのに対し、可動ケーブルはロボットアームやケーブルベア(パワーチェーン)など、機械の可動部分での使用を前提に設計されています。
可動ケーブルの選定のポイント
そのため、ケーブルの変形や曲げ半径、ねじれ角度(張力)、移動速度、屈曲の繰り返し回数などを考慮し、繰り返し動作に耐えられる製品を選ぶ必要があるのです。このようなケーブルを選ぶときに効いてくる大きな要素が「ケーブルの素線構成」です。
曲げ半径
ケーブルが破損せずに曲がることのできる最小の半径。機器の可動域に対して十分な柔軟性を確保するために、指定された最小曲げ半径を守る必要があります。
捻じれ確度(トルク)
特に産業用ロボットでは、ケーブルが3次元でねじれることがあります。このような用途には、ねじれに強い構造(撚線方向の工夫など)が必要です。
可動速度
高速で動作する機械では、ケーブルの内部構造や外被の耐摩耗性が重要になります。動きが速いほど、ケーブルへの負荷も増すため、仕様確認が必須です。
繰り返し屈曲回数
製品寿命に大きく影響する要素です。数百万回の屈曲に耐えられる設計であるか、信頼性試験結果などの確認が推奨されます。
使用環境
製品寿命に大きく影響する要素です。数百万回の屈曲に耐えられる設計であるか、信頼性試験結果などの確認が推奨されます。
柔軟性を決める「素線構成(ストランディング)」とは?
ケーブルの柔軟性は、導体内部の「素線構成」によって決まります。LAPP社のÖLFLEX(オイルフレックス)シリーズでは、以下のように用途別にクラス分けされています。
クラス | 特長 | 用途例 |
Class 1 | 単線(ソリッド) | 固定配線向け |
Class 2 | 荒い撚り線 | 折り曲げを伴う固定接続 |
Ckass 5 | 細い撚線 | 中程度の可動用途 |
Class 6 | 微細撚線 | 高頻度の可動用と、ロボット配線 |
数字が大きいほど柔らかく、可動用途に適しています。
使用環境に応じた最適な撚線構造の違い
使用環境やアプリケーションによっても適した撚線構造が異なってきます。
ここではケーブルベア用とロボット用でそれぞれ特徴をご紹介します。
ケーブルベア用途:高い屈曲耐性と直線運動への最適化
- 撚線ピッチを短くすることで、繰り返し曲げに強く設計
- 内・外層を逆方向に撚ってねじれを防止
- 耐屈曲性に優れた組み編みシールドを採用し、ノイズ耐性も確保
ロボット用途:ねじれ耐性を重視した構造設計
- 撚線ピッチを長く設定し、ねじれに強く
- 撚り方向を内・外ともに同一にして反転動作に対応
- アルミラッピングシールドなどで軽量化とねじれ耐性を両立
【製品紹介】用途別に選べるÖLFLEXケーブルシリーズ
弊社取り扱いのLAPP社ではそれぞれのアプリケーションに適した各種可動ケーブルを取り扱っています。
1. Basic-Lineシリーズ(Class 5対応)
中程度の可動用途に最適。コストパフォーマンスに優れる。
例:ÖLFLEX CHAIN 809シリーズ(単心、多心、シールド、PURシース)
2. Core-Lineシリーズ(Class 6対応)
高耐久・高屈曲寿命が求められる用途に最適。
例:ÖLFLEX FD CLASSIC 810シリーズ(耐油性、UL/CSA対応)
3. Extended-Lineシリーズ(Class 6上位)
最高レベルの耐屈曲性と耐環境性能を実現。常時可動箇所に最適。
例:ÖLFLEX ROBUST FD(高ロバスト性)
まとめ
「可動ケーブル」と「固定ケーブル」では、設計思想も耐久性も大きく異なります。設備の可動部に適したケーブルを選定することで、配線トラブルやダウンタイムを防ぎ、生産性と安全性を向上させることができます。ÖLFLEXシリーズには、可動用途・固定用途の両方に対応した豊富なラインアップがあり、「ケーブル 可動」の最適解を見つけることができます。
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ケーメックスAT テックプラス編集部ライター
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