【第2回】産業用ケーブル入門|設備・装置・ロボットに最適な制御&電源ケーブルの使い分け
2025/04/25
- LAPP
ケーメックスAT テックプラス編集部
前回は、ケーブルに電気機器や装置用の給電・配電を行う「動力・電源ケーブル」や、計装・測定・制御に利用する「制御ケーブル」、さらにデータ転送を主とする「データケーブル」という3つの分類があることをご説明しました。今回は独・Lapp 社のブランドである「OLFLEX(オイルフレックス)」のうち、「動力・電源ケーブル」と「制御ケーブル」について、簡単にご紹介しましょう。
動力・電源ケーブルとは
「動力・電源ケーブル」とは、主に機械を動かすための電力(動力)を供給するケーブルで、高電圧・大電流に対応し、厳しい環境でも安全に使用できるよう設計された電線のことです。
動力・電源ケーブルや制御ケーブルの用途は、一般的な産業機械用、工作機械用、ロボット用、化学系プロセス機械用、自動車・建機用、ビル・空港・駅・発電所などの施設用、食品・飲料機械用、農業機械用、医療機器用など非常に多岐にわたります。
動力・電源ケーブルや制御ケーブルの用途は、写真のように非常に多岐にわたる。
このような幅広い用途からケーブルを選ぶ場合に、たとえばオイルフレックスでは「汎用」「悪条件用」「サーボモータ用」「可動部用」「固定配線用」「特殊用」「耐熱用」「制御盤用単線」というように、目的に合わせた多品種のケーブルをご用意しています。
前回の【第1回】にも記載しておりますが、動力・電源ケーブルの特徴は以下の通りです。
ケーブル心数:主に2心の単相交流線から、5心の3相交流線(L1/L2/L3、および中性線、接地線)まで選択肢があります。
公称断面積:機械的な強度面から基本的に0.5㎟以上となっています。
ケーブルのカラーコード:VDE準拠です。
ただし欧州規格とJIS規格では導体サイズが一致しないことがあるため、製品を選択する際は注意点として念頭に入れておきたいところです。
いずれにしても、必要とされる許容電流値に合った各種ケーブルをご用意していますので、ご安心ください。
ケーブルの規格
ケーブルの規格を確認することで、火災や漏電などの事故を防ぐことができます。
LAPP社のケーブルはドイツ製であり、VDE規格に準拠している必要があります。
VDE規格とは、ドイツ電気技術者協会(Verband der Elektrotechnik, Elektronik und Informationstechnik)が定める電気・電子製品に関する安全・性能規格です。
欧州全体、特にドイツおよびドイツ系製品において非常に信頼性の高い基準とされています。
次に、 CEマーキングです。
EMC・RoHSなど広範囲に関係しているCEマーキングは、EUが加盟国に対して行う指令(EC指令)への適合を表します。
機械指令、低電圧指令、EMC指令などが電気製品に関連するEC指令です。
適合性評価には、整合規格(Harmonized Standard)であるEN規格(ヨーロッパ規格)がベースとされています。
弊社製品を規格別にご覧になりたい場合は、以下URLよりご覧いただけます。
https://www.kmecs-automation.jp/standard/
制御ケーブルとは
制御ケーブルとは、機械をどのように動かすかの信号を伝えるのが主な役割です。
動力・電源ケーブルと制御ケーブルは一緒に使用される場面が多く互いに補完し合い機械全体の動作を成立させる関係です。たとえば、モーターに電源を供給する動力ケーブルと、それをON/OFFするための信号を送る制御ケーブルがセットで使われます。
LAPP社 制御ケーブル
ではLAPP社オイルフレックスの制御ケーブルについてご紹介いたします。
オイルフレックスの制御ケーブルは、心数が2心からありますが、理論的には無制限の多心まで対応できます。こちらもケーブルがナンバリングされており、公称断面積も0.5㎟からご用意しています。
制御用ケーブルのなかで、最も良く使われるLAPP製品といえば、汎用タイプの「オイルフレックス・クラシック110」が挙げられるでしょう。広範囲のオイルと化学薬品への耐性を有しながらも、堅牢で柔軟な性質があります。またケーブル外径が小さいため、配線スペースの削減が行える点もメリットのひとつです。
汎用タイプの制御用ケーブル「オイルフレックス・クラシック110」は一番の売れ筋商品。ナンバーコード、コンパクト、軽量、VDE認定といった特徴を有する。
サーボケーブルとは
サーボケーブルとは、サーボモータを駆動・制御するために使われる専用の電線のことを指します。
サーボモータは、精密な位置・速度・トルク制御が必要な用途(ロボット・自動機・工作機械など)で使われます。
サーボケーブルは、このモータを電源供給と信号制御の両面からサポートするケーブルです。
サーボモータは一般的にノイズを出しやすいため、ケーブルもシールド構造が施されていることが多いです。
ロボットやドラッグチェーン内での反復屈曲に耐える高柔軟・長寿命設計が求められます。
また、モータの温度やブレーキの監視などのために、信号を伝送する制御用ケーブルが複合的に使われることがあります。
LAPP社 サーボケーブル
LAPP社のサーボモータ用(インバータ用)ケーブルには「オイルフレックス・サーボ 700シリーズ」があります。
サーボモータ用(インバータ用)の「オイルフレックス・サーボ 700シリーズ」。個別シールド、一括シールドタイプを用意。省スペース化、作業効率の改善、信頼性・安定性に貢献。
これらの信号は、モータからのノイズを受けやすいため、耐EMC特性を向上させる工夫を凝らしています。ケーブルをツイストペアにして、編み組み一括シールドを施したり、アルミフォイルのラミネート処理を施した種類の製品もあります。
ケーブル選定時には、このような点にも着目したいところです。
またケーブルをご利用になる場合には「可動部か、あるいは固定配線か?」という点にも留意する必要があります。ケーブルは固定で配置されている場所だけに使われるものではありません。最も分かりやすいものは、パワーチェーンやロボットのように、連続的に動くような機械でしょう。
このような用途では、首振りでケーブルが屈曲したり、引きずられながら曲がったり、ねじられて回転するような複雑な動作が繰り返されることもあります。その際にはケーブルがどのくらい変形するのか、その曲げ半径やねじれ
角度(張力)、移動速度、屈曲の繰り返し回数などを考慮し、動作に耐えられる製品を選ぶ必要があります。
最新の技術や製品の情報、業界トレンド、展示会情報などを配信中!!
メルマガ登録はこちら
ケーメックスAT テックプラス編集部ライター
ケーメックス・オートメーションの製品情報や展示会情報をお届けします!
テックプラス更新情報は月イチのメルマガで配信中です。
新着記事
-
2025/06/23
-
2025/06/23
-
2025/04/25
-
2025/04/11
-
2025/04/09