【第3回】産業用ケーブル入門|フィールドバス通信を支える!データケーブルの基礎と応用
2025/06/23
- LAPP
ケーメックスAT テックプラス編集部
前回は、Lapp 社のブランドである「OLFLEX(オイルフレックス)」のうち、「動力・電源ケーブル」と「制御ケーブル」について簡単にご紹介しました。今回はデータ転送をメインとする「データケーブル」について触れたいと思います。
データケーブルとは
データケーブルとは、主に情報や信号の伝送に使用されるケーブルで、電気を供給して機器を動かす動力ケーブルや、電気信号のON/OFFなど、機器の動作制御を行う制御ケーブルとは区別して使用されます。
データケーブルは通常ツイストペア(撚り線)で構成されており、ノイズに弱いためしっかりしたシールド構造になっていることが多いです。
フィールドバス通信規格とは?
データケーブルの中でも特に、FA用通信ケーブルはPLCやセンサ、モータなどの工場の自動化機器同士の間でデータ通信を行うために使用されます。
そしてFA通信ケーブルには、フィールドバス通信規格があります。フィールバス通信規格とは、工場の機会や装置、制御機器同士を効率的かつ正確につなぎ、情報をやり取りするための共通ルール(プロトコル)です。
この規格を導入する目的としては、まず機械同士の共通言語を作るということです。PLC、センサ、ドライブなどの接続の際、メーカーが異なっていても通信規格が統一されていれば相互接続が可能になります。
実際によく使われるフィールドバス通信規格には、PROFIBUS(プロフィバス)やCC-Link(シーシーリンク)、DeviceNet(デバイスネット)、EtherCATなどがあります。
LAPP社のデータケーブル
Lapp社のデータケーブルには、以下のラインナップを取り揃えております。
UNITRONIC(ユニトロニク):過酷な環境でも高い耐久性を誇るデータ(信号用)ケーブル
ETHERLINE(イーサライン):工業環境用に開発されたイーサーネットケーブル
HITRONIC(ハイトロニク):イーサネットでもノイズを受けないようにするためにイーサネット用光ファイバケーブル
この3種類についてご紹介します。
UNITRONIC
UNITRONICには、用途や目的別に「DINカラーコード」「ハロゲンフリー」「UL/CSA規格」「カラード」「可動部用」「低キャパタンス」「バスケーブル用」「インピーダンス100‐120Ω用」「PROFIBUS用」「CC-LINK用」などがあります。
UNITRONICシリーズ。用途や目的別に「DINカラーコード」「可動部用」「バスケーブル用」など多様な製品を揃える。各ケーブルによって、ツイストペア、ハロゲンフリー、低キャパシタンス、UL/CSA規格などもあり。
DINカラーコード
DINカラーコードとは、ドイツの工業規格によって定められた色の識別コードのことを指します。主に工業製品や建築、配線図、設計図面などで色を標準化して使うために用いられます。VDE規格に準拠し、DINカラーコードを採用したデータケーブルです。標準的な「LiYY」や、銅編組による一括シールドでノイズの影響を低減する「LiYCY」、銅編組シールドでポリウレタンシースのため、耐断裂性・耐油性に優れた特性を発揮する「PUR CP」などがあります。
可動部用
パワーチェーン用に開発された柔軟性に富んだデータケーブル「FD」/「FD CY」(銅編組一括シールド)のほか、-40℃の低温下でも優れた柔軟性を発揮する「FD CP Plus」もラインアップとして揃えています。
バスケーブル
インターバス、プロフィバス(PAも含む)、デバイスネットのほか、CANバスやCC‐LINK、セーフティバスなどのケーブルがあります。また各ケーブルによって、ツイストペア、ハロゲンフリー、低キャパシタンス、UL/CSA規格など、さまざまな用途や規格に対応する製品をご用意しています。
ETHERLINE
産業用のイーサネット(LAN)ソリューションや、セキュリティシステムとファイアウォール用のケーブルとして用いられるものです。イーサネットケーブルにはいくつかの規格があり、その規格(カテゴリー)によって、ケーブルの価格もかなり違ってきます。
ETHERLINEには、「Cat5」(100Mbps)、「Cat5e」(1Gbps)、「Cat6A」(1Gbps)、「Cat7」(10Gbps)のすべてのラインナップがあり、それぞれに固定部、または可動部で用いられる場合に適したケーブルをご用意しています。
最適な伝送速度を得るためには、正しいカテゴリーのケーブルとコネクタを選定する必要があります。
ETHERLINEシリーズ。産業用イーサネット(LAN)ケーブル。固定部または可動部で使える「Cat5」「Cat5e」「Cat6A」「Cat7」を用意。規格により、価格もかなり異なる。
HITRONIC
工場内では、前出のETHERLINEのようなイーサネット用の銅ケーブルが利用できないケースもあります。たとえば溶接ロボットは、溶接機自体がアークスタート時やインバータ制御時に高周波ノイズの発生源となり、信号線に悪影響を与えてしまうことがあります。そこでノイズの影響を受けないようにするために、光信号で伝送するわけです。また大量のデータを高速伝送する際にも用いられます。
HITRONICには、多数の一般的な光ファイバーケーブルのほか、ポリマー光ファイバーケーブル、プラスチッククラッド・ファイバケーブルなども用意されています。
HITRONICシリーズ。高周波ノイズの発生源となるもの近くにがある場合、ノイズの影響を受けないように光ファイバケーブルを用いる。
前回と今回の2回にわたり、Lapp社のオイルフレックスの大分類として「動力・電源ケーブル」「制御ケーブル」「データケーブル」について、駆け足で俯瞰してきました。個別のケーブルの特徴については、また別の機会に詳しくご説明させていただきます。
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