低粉塵ケーブルドラッグチェーン「ThomPod」&「Thom PodFlat」は、なぜ凄いのか?

2021/02/09

  • Thomas Engineering

増田 将吾

従来のケーブルベアシステムとThom Podシリーズはどう違う?

こんにちは。技術部の増田です。
前回はThomas Engineering社の紹介と、低粉塵ケーブルドラッグチェーン「Thom Podシリーズ」の概要についてザックリと触れました。
韓国・Thomas Engineering社の低粉塵ケーブルドラッグチェーン「ThomPod」(特許)!(https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_136.html)

今回は、もう少し踏み込んで、各製品について解説していきましょう。

同社のThom Podシリーズは、現時点で第4世代まで進化を遂げており、その中で第3世代の「Thom Pod」と、第4世代の「Thom PodFlat」が代表的な製品になっています。
これまでケーブルドラッグチェーンをご利用の皆様にとって、Thom Podシリーズの外観は、かなりイメージが異なっているのではないでしょうか?
その大きな理由は構造的な違いにあります。

Thom Podは、半導体装置・OLED・医療機器を製造するためのクリーンルームなどで利用できるように、パーティクルを外に出さない特殊な設計にしています。
第2世代までの製品は、低粉塵のケーブルを使ったとしても、ドラッグチェーンの隙間からパーティクルが漏れてしまい、クリーン度が求められる環境での利用には向いていませんでした。
そこで、Thom Podシリーズでは、前回少し触れた「ミニチェーン」と呼ばれる小さいドラッグチェーンと、独自のPOD(特殊外皮)を開発しました。
このPODの中にミニチェーンやケーブルを入れ、密封構造にしています。
これにより従来のドラッグチェーンと比べて、Thom Podシリーズは低振動・低騒音・低粉塵になりました【★写真1】。

【★写真1】従来のケーブルドラッグチェーンとThom Podシリーズの機能的な違い。

実際に某企業で採用されたPOD本体を断面から見てみましょう【★写真2左】。
左図のように4層になっています。この例では第1層に可動部のミニチェーンが4つ入り、第2層には両端にミニチェーン2つと、中央部にケーブル4本、エアチューブ2本が入っています。
第3層はケーブル6本やエアチューブ2本、第4層はケーブルのみ10本の構成です。

【★写真2】某企業で採用されたPOD本体の断面図。Thom Podは4層構造で少し厚みがある。
Thom PodFlatは3層構造で、スペースを約30%ほど削減。

この企業では、さらにThom Podを改良した第4世代のThom PodFlatを採用しました。
プラットパネルや半導体製造装置など、より高密度な設計をする際に適したモデルで、Pod本体を4層から3層にしてロープロファイルとすることで、結果的にスペースを約30%ほど削減できました。
【★写真2右】では、第1層にミニチェーンが4本、第2層にケーブル6本とエアチューブ2本、第3層にケーブル12本やエアチューブ2本が入っています。

スタンダードタイプも用意されたThom Podシリーズのラインナップ

同社の強みはオーダーメイドで、ユーザーの仕様に合わせて、さまざまなケーブルベアシステムに対応できる点ですが、Thom Podシリーズは、利用しやすいようにスタンダードタイプを用意しています。
標準タイプは、POD径が15.5/20.5/28mmからチョイスでき、それぞれ7/8/6PODまで対応します【★写真3】。

【★写真3】POD径が15.5/20.5/28mm、7/8/6PODまで対応するThom Podのスタンダード品。

この各PODの中に、複数の信号線(エンコーダ信号)や電源線、空気チューブなどを束ねて入れられるわけです【★写真4】。
同社では、これらのPODに適用する特殊な複合ケーブル類も販売しています。

【★写真4】外径28mmのPODの場合。最大6PODまで対応し、そのときの幅は184mmとなる。
各ポッドには複数の信号線、電源線、空気チューブが入る。

またThom PodFlatシリーズも、カスタム製品だけでなく、スタンダードタイプを揃えています。
こちらにはThom PodFlat用として「Wシリーズ」があり、計7タイプを選ぶことができます【★写真5】。

【★写真5】Thom PodFlat用として「Wシリーズ」。PODとケーブル類の配置によって、計7タイプを選ぶことができる。

Thom Podシリーズは、セルフサポートで最大6mまでのロングストロークでの稼働が可能な点も大きな特徴です。

第3回目では、目玉となるロングタイプの耐久性テストや、クリーンルームでの試験結果などについて解説する予定です。それでは次回をお楽しみに!

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増田 将吾プロダクトマネージャー

主にMurrplastikやBinderを担当しています。
ヨーロッパの優れた製品を幅広く皆様にご紹介していきたいです。
週末にはボルダリングジムに通って汗を流しています。

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