サーキットブレーカとサーキットプロテクタの違い【後編】
2024/12/01
- Murrelektronik
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砂川 裕樹
前編(https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_202.html)では、サーキットブレーカとサーキットプロテクタの違い、そして役割について解説しました。
現在、多くの現場で使われているのは「メカ式(電磁式)」ですが、装置の高度化が進む昨今、設計現場では従来の手法ゆえの課題に直面するケースが増えています。
本記事では、まず設計者の皆様が抱える「メカ式ならではの悩み」を整理し、その解決策として注目されている「電子式」の具体的なメリットを詳しく解説します。
【目次】
・メカ式採用時に直面する「選定」と「運用」の壁
・電子式サーキットプロテクタを選択するメリット
・弊社がご提案する電子式サーキットプロテクタMICOについて
・MICOの豊富な付加価値
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メカ式採用時に直面する「選定」と「運用」の壁
電磁コイルなどの物理機構を用いた「メカ式」は、その構造ゆえに、設計段階での緻密な計算と、現場でのシビアな調整が求められます。
そのため、弊社で電気設計士の方からよく聞く声が、
「この負荷回路に瞬時形を選ぶと、突入電流でミストリップしないだろうか?データシートで詳しく見ないといけない…」
「この回路はループインピーダンス(抵抗値)どれくらいか?仮に末端で短絡が起きたらどのくらいの短絡電流が流れるのか?」
「突入電流を考慮して低速形を選定したが、果たして短絡したときにCPは守ってくれるだろうか?」
「せっかく苦労して選定したのに、組み立て中にケーブル長が変わってまた一から計算しなおし…」
といったものです。このように、メカ式での設計・運用には、常に「計算の工数」と「ミストリップのリスク」が付きまといます。
これらの課題を解決するのが「電子式サーキットプロテクタ」
こうしたメカ式の限界を突破し、設計工数の削減と信頼性向上を両立するために開発されたのが「電子式」です。ここからは、電子式を選択することで得られる具体的なメリットを解説します。
電子式サーキットプロテクタを選択するメリット
弊社では、上記で説明してきた電磁式サーキットプロテクタでの悩みを解決する、電子式サーキットプロテクタをご提案しております。
電子式サーキットプロテクタの引き外し動作は物理的接点のないMOSFETトランジスタを用いて電子的に行われます。

<MOSFETについて>
トランジスタは小型のスイッチとして様々な機器に数多く利用されていますが、中でもMOSFETはスイッチング速度の速さ、リーク電流の少なさ、小型化の容易さなどから、今では数多くの回路に不可欠な存在となっています。
電子式サーキットプロテクタは、電磁式サーキットプロテクタと比較すると下記の点で優れています。
・電磁式サーキットプロテクタのように瞬時形、中速形、低速形のように遮断特性に応じて分けられていないので選定が楽。
・短絡(過電流)でも確実に遮断(トリップ)する
・突入電流を理解し、不必要な遮断(ミストリップ)をしない
・機械的要素がないため、電圧降下が小さい
弊社がご提案する電子式サーキットプロテクタ MICOについて
弊社で販売総代理店を行っているドイツMurrelektronik社の電子式サーキットプロテクタ『MICO』(ミコ、と呼びます)をご提案しています。

<MICOシリーズ>
MICOは、電磁式サーキットプロテクタと比べて3つの大きな違いがあり、それにより電磁式サーキットプロテクタのお悩みを解決できる製品となっております。
違いその① 動作原理の違い
電磁式サーキットプロテクタの動作原理は電磁力です。これは過電流によって電磁コイルに発生する磁力をもとにして遮断動作を引き起こすものです。
遮断速度は可動鉄心の動きを遅延オイルで遅くさせる機構なので、個体のバラツキもあります。
一方でMICOは電流値を内部で計測しています。
それにより定格電流値の何倍流れたら何秒で動作するということがより精密にコントロールできるようになり、電磁式サーキットプロテクタでは実現困難な遮断動作特性が可能になります。
違いその② 短絡に対しての遮断速度
定格電流値の190%以上でわずか20msの反応速度により、即座に遮断します。
短絡電流が小さくなりがちなケーブルが長尺の場合でも、問題なく即座に遮断できます。
違いその③ 突入電流について
MICOは回路を流れる電流を常時監視しており、過電流を検知した際に、内部のマイコンが突入電流なのか短絡なのかを区別できます。
短絡であれば即座に遮断し、突入電流であれば不必要な動作を起こしません。
前述の電磁式サーキットプロテクタの長所短所の表にMICOをまとめると以下の表のとおりになります。

MICOの豊富な付加価値
電子式サーキットプロテクタ「MICO」は、単に回路を遮断するだけでなく、設計・施工・運用のあらゆるフェーズで高い付加価値を提供します。その主要な機能を以下の表にまとめました。
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カテゴリ |
特長・付加価値 |
メリット |
|
確実な保護 |
過電流・短絡の確実な遮断 |
短絡電流が小さくなりがちな長尺ケーブルでも、確実に異常を検知・遮断。 |
|
環境耐性 |
周囲温度の影響を受けない |
メカ式と異なり、設置環境の温度変化に左右されず、常に安定した遮断特性を維持。 |
|
柔軟な設計 |
定格電流値の調整機能 |
1つのチャンネルごとに定格電流値を調整可能。不可変更時の買い直しや再設計の手間を省略。 |
|
安定稼働 |
カスケード遮断の防止 |
異常が発生しいたチャンネルのみを遮断。他の正常な回路には影響を与えず、装置全体のダウンを回避。 |
|
予防保全 |
過負荷プリアラート機能 |
定格の90%に達すると信号を出力。異常を未然に察知し、突発的なライン停止を防ぐ。 |
|
高度な制御 |
制御入力機能 |
外部からのトリガ信号により、任意のタイミングで出力を制御。休憩時間の省エネ対策などに有効。 |
|
復旧の効率化 |
リモート復帰機能 |
外部信号により遠隔からトリップした回路を復帰可能。無菌室やクリーンルームなど、盤へのアクセスが制限される環境で絶大な効果を発揮。 |
|
省スペース |
マルチチャンネル対応 |
1つのハウジングに複数系統を搭載。分岐回路の構築が簡単になり、盤内の省スペース化を実現。 |
Murrelektronik MICOシリーズ ラインナップ比較
MICOには、チャンネル数や定格電流の調整範囲、さらには通信機能の有無など、用途に合わせて選べる複数のラインナップが用意されています。
それぞれのモデルの主な仕様や違いについては、以下の比較表をご確認ください。お客様の装置構成や保護の目的に最適なモデルをひと目でご確認いただけます。

画像内のスペックについて、より詳細な選定基準や、お使いの環境に合わせた最適な型式の選定をご希望の場合は、以下の製品資料もあわせてご参照ください。
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【制御盤設計者必見】客先の重大事故を防ぐ! |
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砂川 裕樹プロダクトマネージャー
Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。
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