【EMCセミナー・サポート記事その2】EMC発生メカニズムとMurrelektronik社のEMCフィルタ、サプレッサについて解説!

2021/01/12

  • セミナーサポート

増田 将吾

なぜノイズが発生? 押さえたい2つの電磁気学の基本法則

こんにちは。さて今回はEMC対策・第2回目(理論編)です。

第1回目(法規編):https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_135.html

第3回目(対策編):https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_142.html

まず押さえたい2つの電磁気学の基本法則はこちらです。

アンペア(アンペール)の法則
→電流が流れると周囲に磁界ができる。

ファラデーの法則
→磁界が変化すると電流が流れる。

2つの法則を比べてみると、電流と磁界は切り離せない関係だとわかります。
そして、この現象は全ての電気機器で起きてノイズの原因となります。

もう一つ忘れてはいけない現象として、ケーブルなどの絶縁体は電荷を蓄えることのできる誘電体ということです。
浮遊容量は直流は通しませんが、高周波電流を通しコモンモードノイズ(後述)の原因となります。

伝導性ノイズと放射性ノイズとは?

ノイズは周波数によって大別して、
●導体を伝搬する「伝導性ノイズ」
●空間を伝搬する「放射性ノイズ」(30MHzが境目)
があります。

●伝導性ノイズ
伝導性ノイズは「ノーマルモード」と「コモンモード」があります。
ノーマルモードノイズは、回路電流と同じ経路で高周波電流が流れます。

コモンモードノイズは、浮遊容量などを通して大地または接地線に流れます。
コモンモードノイズは意図されていない目に見えない回路なので掴みにくい厄介なノイズです。

この他に、パルス性のノイズやサージ性のノイズがあります。

●放射性ノイズ

放射性ノイズは電磁波となって空間を伝わります。その発生メカニズムとして、モーターとインバータ間のケーブルを例にしてみます。
インバータのスイッチング動作により発生した高周波ノイズは、ケーブルを伝ってモーター回路に進行します。

しかし、モータのインピーダンスは高いので急速なインピーダンスの変化により進行波は反射します。
反射を繰り返し、かつケーブル長が波長が同期した場合、振幅が増幅されてしまい導体をアンテナとしてエネルギーが電磁波として放射されてしまいます。

その逆に、飛んできた電磁波をケーブルがアンテナ代りになって受けとってしまうこともあります。

電磁誘導電圧によるノイズ

図はケーブルが近接している、上が動力線、下が制御線の場合です。
図のように電力線と制御線のケーブルが近接していると、電力線に流れる電流Iによって相互インダクタンスMが発生します。

制御線への電磁誘導電圧Vmが発生し、ノイズの原因となります。
その大きさはVm=jωMI(ω=2πf)で表すことができます。

この電磁誘導に起因するノイズは、ノイズ源(電力線)の「電流」に関係しています。

静電誘導電圧によるノイズ

電荷をもつ導体に絶縁体に覆われた電荷をもたない導体に近づけると、その導体は正と負の電荷が分離して現れます。
絶縁体に覆われていても静電誘導の影響を受けます。これが静電誘導の原理です。

さきほどと同じように電力線と制御線が近接している場合、原理によって静電誘導電圧がかかり制御線にノイズが発生します。
誘導静電電圧は、Vs=C1/(C1+C2)で表すことができます。

この電磁誘導に起因するノイズは、ノイズ源(電力線)の「電圧」に関係します。
これらノイズの対策を次回の記事でお伝えしたいと思います。

EMCフィルタで伝導性ノイズをカット

EMCフィルタはノイズを低減してクリーンな電圧を取り出すことができます。

Murrelektronik社のEMCフィルタには、コンパクトで使いやすい「MEFシリーズ」と、高耐久の「EMPARROシリーズ」があります。

電源、変圧器、インバータ、モータなど、さまざまな用途で発生するノイズに対応でき、お使いのアプリケーションから製品選定することができます。

サプレッサでノイズ発生源の根を断つ!

モーター、電磁接触器、電磁バルブなどのノイズ発生源には、サプレッサを使用し、最もノイズ源に近い場所で断つのがポイントです。

Murrelektronik社が創業後第一にリリースした製品がサプレッサです。
幅広くソリューションを展開しています。

サプレッサは、ダイオード、ツェーナーダイオード、VDR(バリスタ)、RC素子など、それぞれの特性に合った製品を選定する必要があります。

次回は、EMCセミナーのフォローアップの最終回(対策編)となります。またお会いしましょう。

第3回目(対策編):https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_142.html

お問い合わせ

増田 将吾プロダクトマネージャー

主にMurrplastikやBinderを担当しています。
ヨーロッパの優れた製品を幅広く皆様にご紹介していきたいです。
週末にはボルダリングジムに通って汗を流しています。

新着記事

戻る