【スマート工場EXPO】MURR本社のセールスマネージャーが語る! Industrie 4.0とIoTを加速する次の一手とは?

2019/05/08

  • Murrelektronik

砂川 裕樹

MURR本社のセールスマネージャーに直撃インタビュー!

先ごろ東京ビッグサイトで開催された「スマート工場EXPO」において、弊社はドイツ・Murrelektronik社(以下、MURR社)と共同でブースを立てました【★写真1】。そこで今回のコラムでは、ドイツ本社から来日したMURR社のアジアセールスマネージャーであるMathias Maiterth氏に、同社の戦略とポイントになる新製品などの最新情報について話をうかがいました【★写真2】。
 


【★写真1】ケーメックスは「スマート工場EXPO」において、ドイツ・MURR ELEKTRONIK社とコラボで出展。
グリーンのカラーはMURRのトレードマーク。


【★写真2】Murrelektronik アジアセールスマネージャー Mathias Maiterth氏(右)。 



――いま本国のドイツでは、MURR社はどのような企業活動をされていますか?

■Mathias氏 現在、MURR社は自動化にフォーカスした製品を拡販しています。業界的にドイツは自動車産業が盛んであるため、自動車産業とそれに紐づいた工作機械系や梱包システム系、物流・倉庫系、さらに新しい分野では食品業界に対しても積極的に参入しています【★写真3】。

もちろんロボティクス分野でも、MURR社の製品が数多く使われています。たとえば、ドイツの代表的な自動車メーカーの生産ラインではKUKAの多軸ロボットが活躍していますが、エンドユーザーがリモートIO制御のために、われわれのIP67シリーズを利用しています。



【★写真3】食品業界に対する自動化ソリューション。MURR社のケーブルやコネクタを導入し、
ライエリアからウェットエリアまでを分散制御。配管作業を最小化し、衛生的な省配線が可能。



――最近、MURR社で特に力を入れている製品は、どのようなものでしょうか?

■Mathias氏 やはり主力となるリモートI/Oシステム「IP67シリーズ」ですね【★写真4】。
I/Oが制御盤の外から内に集約され、今後は分散制御の考え方が重要になるでしょう。そこでMURR社は「ゼロ・キャビネット」というコンセプトを掲げ、キャビネット自体(制御盤)をなくしていくことに力を入れています【★写真5】。


その実現のために役立つソリューションの1つとして、堅牢で耐環境性に優れたIP67のパワーサプライ製品があります【★写真6】。
 


【★写真4】MURR社の大きな柱であるリモートI/Oシステム「IP67シリーズ」。
システム全体の省配線化と工数削減に寄与する。



【★写真5】展示ブースでは、キャビネット自体(制御盤)をなくしていく「ゼロ・キャビネット」という
コンセプトを提案するデモンストレーションも行われていた。 


【★写真6】「ゼロ・キャビネット」を後押するパワーサプライ関連製品。電流値を監視できる
インテリジェント・サーキット・プロテクターと、電源ユニットが一体化した「MICO PRO」。


――今回はMURR本社として、日本のエンドユーザーに対し、どんな点を強く訴求したいと考えていますか?

■Mathias氏 今回の展示会は、総代理店のケーメックスとメーカーのMURR社がコラボによって実現したものです。MURR社の製品を日本国内で独占販売しているのがケーメックスであるという点を強くアピールしたいですね。われわれはドイツ企業ですが、日本の皆様には、ケーメックスを通じて技術サポートを受けていただきながら、気軽に製品をご利用してもらえると嬉しいですね。

――マーケット的にドイツと日本では何か違いはありますか? 日本でも第4次産業革命の文脈のなかで、Industrie 4.0 やIoTといったトレンドが注目されています。

■Mathias氏  そうですね。まずドイツでもIndustrie 4.0についての定義は難しいのですが、MURR社としては「すべてのデータを、世界中どこでも、いつでも利用可能にする技術」と捉えています。まさにMURRの製品群は、Industrie 4.0のプラットフォームの構成要素になるものです。

リモートI/OのIP67シリーズは、10年前からリリースされている製品ですが、新機能を追加しながら刷新されてきました。さらに2年前には、機械をクラウドへ簡単に接続できる専用ゲートウェイ「CUBE 67 Diagnostic Gateway」(呼称:ディーガ)を発売しました【★写真7】。

このディーガという製品は、CUBE67システムの診断機能を拡張し、エラー情報もロギングできます。そのほかにも「OPC-UA」(産業オートメーション分野などで、安全かつ信頼性のあるデータ交換を目的に相互運用を行うための標準規格)に対応しており、CUBE67シリーズのデータや診断情報を上位レイヤに転送し、リモートでエッジ側のI/Oデータを可視化できることが大きな特徴です。

従来までI/Oデータを収集する場合は、PLCを経由する形でした。それがDIGAの登場によって、リモートI/O経由でダイレクトに、さまざまな情報を取得できるのです。そしてDIGAからOPC-UAにデータを転送し、I/Oデータを可視化して表示できるようになりました。



【★写真7】工場におけるシステムのトラブルを可視化し、ダウンタイムを最小化する自己診断機能を
装備した専用ゲートウェイ「CUBE 67 DIGA」。

 

――IoT製品も発売されたという話ですが、こちらについても教えてください。

■Mathias氏 今回は出展していませんが、Industrie 4.0のコンセプトを展開していく際に重要となるIoTゲートウェイで、「Nexogate」と呼ばれる製品も発売しました。これを利用すると、NexogateがI/Oデータを収集し、モバイル回線を利用してクラウド側へ転送できます【★写真8】。

その結果、PLCのパフォーマンスを落とさずに、クラウド側にデータを置いて、世界中から、いつでもどこでも機械・装置の状況を見ることができるようになるのです。今後このNexogateは、Industrie 4.0がより浸透するなかで、中心的な存在になっていくでしょう。




【★写真8】Industrie 4.0を展開するなかで、中心的な存在になるMURR社のIoTゲートウェイ「Nexogate」。
DIGAから収集したエッジデータをクラウド側へ転送できる。




――最後になりますが、技術商社としてのケーメックスの強みについて、MURR社はどう考えていますか?

■Mathias氏 ケーメックスは、長年にわたり培ってきた日本の顧客との強い信頼関係があります。そのためMURR製品の情報に関しても、じっくり耳を傾けてもらえる強みがあると思います【★写真9】。

わたしたちは「stay connected」というスローガンを掲げています。取り扱い製品が電気的に接続する製品だからという理由だけでなく、「お客様とも信頼関係でつながっている」という意味も込められているのです。そういう点でもケーメックスは、我々にとって最良のパートナーなのです。

また、これまでケーメックスは、CUBE67 のようなリモートI/O製品に強かったのですが、MURR社には電源まわりを主軸としたパワーシステムや、コネクタを主軸としたコネクティビティなど、数多くの製品群をそろえています。ぜひケーメックスには、新分野の製品も積極的に展開していただけることを期待しています。

 


【★写真9】MURR社の製品は、単に電気的につながるだけでない。
「お客様とも信頼関係でつながっている」という意味も込められたスローガン「stay connected」。 

お問い合わせ

砂川 裕樹プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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