【SPS IPC Drives 2018レポート編】(第16回)ドイツで開催された大見本市「SPS IPC DRIVES 2018」でMURR社の最新情報をゲット!

2019/01/28

  • Murrelektronik

砂川 裕樹

ドイツ屈指の見本市「SPS IPC Drives」とは、どんなイベント?

少し時間が空いてしまいましたが、ドイツ・ニュルンベルグにて、昨年11月末の3日間にわたり開催された「SPS IPC Drives 2018」(https://sps.mesago.com/events/en.html)についてご報告したいと思います。ドイツ南部のバイエルン地方に位置するニュルンベルクは、ミュンヘンに続く大きな町で、ロマンティックな中世の趣が漂っています。ここで毎年開催されているイベントがSPS IPC Drives(以下、SPS)です。

このSPSは、制御技術、IPC、駆動システム/コンポーネント、ヒューマン・マシン・インタフェース、産業用通信機器、産業用ソフトウェア、各種機械、インフラ機器、センサ技術などが、分野ごとに展示されている大見本市です。ドイツではハノーバーメッセと並ぶ大きなイベントで、昨年は1675社の企業が出展し、7万人以上の来場者が訪れました【★写真1】。

【★写真1】11月にドイツ・ニュルンベルグで3日間にわたり開催された「SPS IPC Drives 2018」。


もちろん私が担当しているMURR Elektronik社(以下、MURR社)もSPSに出展しました【★動画2】。MURR社は、PLCからIOシステム、インターフェイス機器、電源、ケーブル、センサ、アクチュエータまで、幅広いラインアップがあります。本レポートでは、この中から特筆すべき新製品の情報を、3つほどピックアップしてご紹介させていただきます。

【★動画2】SPS IPC Drives 2018、MURR Elektronik社ブースの模様。



クラウドソリューションの第一弾、簡易型IoTゲートウェイのお披露目

まず1つ目の製品は、Industry4.0に欠かせない簡易型IoTゲートウェイ「nexogate」【★写真3】です。これまでMURR社では取り扱っていなかったクラウドソリューションの第一弾となるものです。エッジ側にあるセンサやアクチュエータなどのデータを収集し、通信機能を有したnexogateを介して、ダイレクトにデータを送信し、クラウド側に蓄積できるようになります【★写真4】。


【★写真3】MURR Elektronikで初となるクラウドソリューション、
通信機能付きの簡易型IoTゲートウェイ「nexogate」。

正式リリースは年内になりそうだ。


【★写真4】写真のように、エッジデバイスのデータを収集し、クラウド側にデータを直接アップできるように
なる。プロセスの分析や、機械の合理化、または予測保守などの応用に使える。


これによりデータをダッシュボード上でモニタリングし、プロセスの分析や機械の合理化、または予測保守のためのツールとして利用できるようになります。システム上位側のネットワークは、 Profinet、EtherNet/IP、EtherCAT、POWERLINKなどに対応します。MURR社はさらなるIndustry 4.0の実現へ向け、今後こういったクラウドソリューションへも開発を注いでいく予定です。正式リリースは、もう少し先の話になりますが、乞うご期待ください。



従来のインテリジェント・サーキット・プロテクターに電源が一体化

続いて2つ目の新製品は、制御用のDC24V回路で使えるインテリジェント・サーキット・プロテクター「MICO PRO PS 5A&10A」【★写真5】です。以前、本コラムでもMico(IoTにいち早く対応。貴社の機械を簡単にクラウド接続できるDiGaデバイスとは?)について少し触れたので、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。


【★写真5】電流値をモニタリングできるインテリジェント・サーキット。プロテクターのMicoに電源ユニットが
一体化された「MicoPro PS 5A&10A」。DC24V用の2次側の回路を保護できる。4chモジュールを追加し、
電流容量20Aまで増設が可能。


MICO PROは、電流値をモニター可能なDC24V用の保護ユニットで、最大4chのカード式ユニットを必要数だけ増設できる拡張型の電子式サーキットプロテクタです。遮断電流値をchごとに任意に設定し、過電流や短絡に対して高速トリップが行えます。今回このMICO PROに新たに電源ユニットが一体化されました。これにより24V電源とサーキットプロテクタがひとつのユニットになり、制御盤内が非常にスッキリすること、さらに省配線にも貢献できます。


省配線ボックス・Exact12にロジック制御機能を追加するオプション

3つ目は、かなり毛色の変わったユニークな新製品です。本コラム第一回で、ケーブルをM12にコネクタ化する「Exact12」について紹介しました。この省配線ボックスにロジックを組めるオプションのユニットが「Logicap 9-in-1」【★写真6】です。


【★写真6】従来のExact 12にロジック機能を追加できるオプションのユニット「Logicap 9-in-1」。


本製品を使えば、従来のExact 12とは異なる使い方ができるようになります。たとえば、8個×2接点=16接点のI/Oポート【★写真7】において、あらかじめ入力信号(Pin2、Pin4)を組み合わせ、ANDやXORによって信号を出力し(S2、S4)、これをPLC側の入力側に送ることで、PLC側で組んでいたラダー回路などのロジックを省略することができます。


【★写真7】Exact 12に、Logicap 9-in-1を取り付けた正面からの写真と、各8ポート×2接点のピン配置。
入力信号(Pin2、Pin4)と出力信号(S2、S4)の配置の対応。


使い方は至って簡単。べースユニットとなるExact12に、このLogicap 9-in-1を取り付けるだけOKです。そして、AND、OR、XORなど、9つのロジックのパターンをロータリスイッチで設定後、入力側の未使用ポートをDIPスイッチで無効化します。Logicapのスイッチによりハード的に設定を行って、さまざまなロジックを組めるわけです【★写真8】。


【★写真8】ロータリスイッチ(PS)で9つのロジック・パターンを設定し、DIPスイッチ(DIL1、DIL2)で
入力側の未使用ポートを無効化。ステータス用のLEDも付いており、トラブルシューティングも可能だ。


一見メリットがわかりづらい製品かもしれませんが、一番のメリットはPLCの入力ユニット数を減らせることによるコストダウンです。例えばこれまで16点の入力信号をPLCに入れ、ラダープログラムにてロジックを実行してアウトプットしている場合があるとします。そこで、その入力信号16点をLogicapに集約し、Logicapにてロジックを実行して2点ある出力端子からアウトプットすることができるので、入力信号16点をPLCに入れる必要がなくなるのです【★写真9】。


【★写真9】入出力のロジック表。AND/NOR、AND、XOR、ORにおける、
各入力(X1_2~X8_2、X1_4~X8_4)と出力S1、S2の関係表。


これからも弊社では、MURR社の総代理店として幅広い製品群を数多く取り扱っていきます。本コラムでも逐次ご紹介することになりますので、ぜひご期待ください。

お問い合わせ

砂川 裕樹プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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