産業用配線の“困りごと”解決講座(第12回目)【特別篇】ドイツの展示会「SPS IPC DRIVES 2017」で発表されたMurr社の新製品を大紹介!(IO-LINK篇)その1

2018/01/10

  • Murrelektronik

砂川 裕樹

これから需要大! IO-Link対応センサを集約して管理するマスタデバイス

11月28日から30日まで、制御、HMI、高速通信、各種要素技術など、ヨーロッパのFA関係の主要な産業用機器メーカーが集結した総合展示会「SPS IPC DRIVES 2017」がドイツにて開催されました。そこで今回から、何回かにわけて、Murrelektronik社が発表した新製品について、ご紹介していきたいと思います。

まずはIO-Link篇として、IO-Linkに対応したモジュール群について説明したいと思います。最近になって需要が増えているのが、Etherenet/IP(IO-Link)に対応するコンパクトなDIO IOLマスタデバイス「IMPACT67 E DIO IOL」【★写真1】です。本製品は、スタンドアロン型のマスタデバイスです。


【★写真1】IO-Linkが使えるEtherenet/IP対応品が、従来の「IMPACT67シリーズ」に加わった。

※スタンドアロン型
マスタデバイスに直接IO機器を接続しフィールドバスに伝送させる。スタンドアロン型に対して、以前よりご紹介しているCube67はマスタデバイス(バスノード)とスレーブデバイス(IOモジュール)で構成される拡張型。

これまでMurr社では、さまざまなフィールドバス対応のスタンドアロン型の『IMPACT67シリーズ』を用意してきましたが、そのなかでもIO-Linkマスタを搭載しているのは、Profinet対応製品のみでした。それが今回よりEtherenet/IP対応品でもIO-Linkが使えるようになり、より多くのお客様のご要望に応えることが出来るようになりました。

このIMPACT67シリーズは、スタンドアロン型であるため、機器のコンフィグレーションが不要で、まさにプラグ&プレイ(コネクタで取り付けるだけ!)を体現します。また、上位フィールバスとして、現在出荷ノード数が全世界で著しく伸びているEthernet/IPやProfinetに対応し、IO-Linkマスタポートを最大4ポート搭載しております。IO-Linkを活用いただくと、IO-Link対応スマートセンサだけでなく、新製品のIO-Linkハブ「MVP12 DI8 DO8 IOL/DI16 IOL」【★写真2】を4つ接続して、最大I/Oを64個まで拡張することもできます。


【★写真2】IMPACT67シリーズの子機にあたるIO-Link対応4ポート拡張(ハブ)モジュール。マスターに4台ぶん接続すれば、最大16個のIO-Link対応スマートセンサが使える。

IO-Linkハブを従来の中継箱と置き換えることで、LEDによる診断情報の視認性を確保しつつ、なるべく機械側エッジに近いところでI/Oを集約することで高度な分散制御することができます。CUBE67と同様にフレキシブルなI/O構成ができることや、電源投入からの起動時間が短い点(クイックコネクト)も大きな特徴のひとつです。

そして今回、もうひとつ面白い製品が発表されました。それが非接触でIO-LINK通信を可能にするリモートカプラ「IO-Link INDUCTIVE COUPLERS」【★写真3】と呼ばれる製品です。これは電磁誘導式で相手側に信号と動力を伝送します。



【★写真3】電磁誘導式により、非接触でIO-LINK通信を可能にするリモートカプラ「IO-Link INDUCTIVE COUPLERS」もユニークな製品だ。

使い方としては、まず親機となるIMPACT67シリーズ経由で、リモートカプラの発信側を接続し、それに対向した形で受信側のカプラを非接触で設置します。受信側のカプラには、IO-Link対応のスマートセンサやIO-Linkハブが接続されます。これでエッジ側のセンサからの信号を非接触で取り込めるわけです。

このリモートカプラを利用したユニークなケーススタディをご紹介しましょう。【★写真4】のように、モニターの下側にIMPACT67シリーズが4つ並列に並べられています。その下には、IMPACT67シリーズに接続された4つのリモートカプラの発信側が接続されています。


【★写真4】非接触でIO-Link通信のケースステディ。ホットスワップ機能を備え、複数のチャネル切り替えがスムーズに行える。金型交換や、ツールエクスチェンジャなどに利用できる。


さらに、この下に水平レールがあり、そこをリモートカプラの受信側がスライドできる構造になっていることが、お分かりいただけるでしょうか?

これにより、4つのIO-Link対応センサの出力チャネルを簡単に切り替えながら、上位のモジュールに情報を伝達できる仕組みです。IO-Linkハブの内部メモリに識別IDをシステム側から読み込むことで、例えば、金型の交換や、ロボットのエンドエフェクタの交換、ツールエクスチェンジャなどにも適用できるでしょう。

しかも、このシステムが優れているのは「ホットスワップ」に対応している点です。これまで、こういったI/O機器の切り替えを実行する際には、システム電源のリセットが必要でした。今回のシステムでは、電源をリセットせずに、そのまま通信リンクが張られることになります。この機能は、従来のCUBE67モジュールには搭載されていませんでした。

今回、Murrelektronik社は、お客様のニーズに応えるべく、自社のIO-Link対応製品を強化しました。ぜひご利用いただければ幸いです。2018年1月17日から19日まで東京ビックサイトで開催される「スマート工場EXPO」で展示しています。ブース番号W21-22、W22-26に是非御来場ください。
次回も期待の新製品について大公開したいと思います。

 

 

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砂川 裕樹プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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