産業用配線の“困りごと”解決講座(第7回目)
2017/05/31
- Murrelektronik
砂川 裕樹
【困りごと、その5】生産ラインでトラブルが発生したとき、いち早く原因を特定し、復旧させるコツ(可用性の向上)
前回、前々回と、フレキシブルIP67 I/Oシステム・CUBE67の導入メリットについてご紹介してきました。また今回も、CUBE67のメリットについてご紹介したいと思います。
さて、工場現場での“困りごと”として、もし生産ラインに何かトラブルが起きてしまった場合を想定しましょう。これは、まさに一大事です。最悪の場合、量産化している製品のラインが停止してしまうかもしれません。もしラインが1分間でも止まってしまうと、甚大な損失につながってしまいます。現場の担当者は大慌てで原因を究明し、いち早くラインを復旧させなければならないでしょう。
しかし、一体何が原因でラインが止まってしまったのでしょうか? 現場に急行し、どこに問題があるのかを一生懸命に調べてみるのですが、なかなか原因を切り分けられません。そもそも現場に置かれたリモートIOモジュールが、システムの奥まった場所にあるため、どこで故障が起きているのか、その故障アラート用のLEDも見づらくてよくわからない状況です。さあ困ってしまいました……。上司が怒り心頭する顔が目に浮かびます。
しかし、Murrelektronik社のフレキシブルIP67 I/Oシステム・CUBE67を導入していれば、そんなトラブルがあっても安心です。というのもCUBE67には、リアルタイムでエラーの発生がわかる強力な「自己診断機能」が装備されているからです。もしIOに異常が発生したら、NCコントローラ上の組込パネル上やPLC上などから、「エラー内容」と「異常個所」を迅速に確認できるのです。しかも異常箇所が1ch単位で、その場所【リモートIOモジュール番号(スロット番号)とそのch番号】まで含めて詳細に通知されます【★写真1】【★写真2】。
【★写真1】CUBE67の自己診断機能。現場でシステムに何かトラブルが発生しても、すぐに場所を特定し、どんな原因か、ある程度の当たりをつけられる。
【★写真2】自己診断情報の一例。写真はファナックのCNCコントローラからエラーを確認している場合。ノンプログラムで、任意のアドレス領域に自己診断情報を表示できる点もメリット。
具体的なエラー内容としては「通信エラー」「バスライン断線」「電圧低下」「モジュール故障」「センサ短絡・断線」「アクチュエータ過負荷・断線」などが挙げらます。エラー内容の通知は、8ビットのFalut信号によって、ある程度の特定が可能です。たとえば、Falut信号が「01hex」(01dec)であればセンサまわりで「短絡」していることがわかりますし、「02hex」(02dec)であればIOまわりので電圧低下が考えられます。そのほかのエラー原因の詳細については、下図の【★写真3】をご参照ください。
【★写真3】充実した自己診断機能の詳細ステータス。8ビット信号のフラグの立ち方で、どんなエラーが発生しているのかを理解できる。
このようにCUBE67を導入することで、万が一システムのどこかで異常が発生しても、その原因をすぐに推測し、どこの場所で何が起きているのか、当たりをつけてから、現場に急行できます。もう担当者は現場で右往左往する必要はありません。機械の可用性が向上し、生産ラインのダウンタイムの大幅な低減を実現できるでしょう。
CUBE67を導入する際は、以前ご紹介したように、省配線化と配線作業の簡素化によって作業工数を減らしたり、制御盤内の省スペース化、あるいは制御盤自体の小型化によって、最終的なトータルコストを削減できることを示しました。さらに今回ご紹介したように、CUBE67を導入すれば、後々の運用管理についてもメリットがあることがご理解いただけたでしょうか?
運用コストは、目に見えづらい側面もありますが、何かあったときには大きな負のコストになってしまうリスクもあります。現場に対してできるだけ負担がかからないように、生産ラインの運用をしっかりサポートさせていただくことも、CUBE67の大きな役割のひとつなのです。
次回は4つ目のメリットとして、CUBE67に搭載された独自機能の「Machine Options Management(MOM)」についてご紹介したいと思います。IoTやindustrie 4.0が叫ばれるなかで、この機能も非常にお役に立てるものと自負しています。それでは次回もお楽しみに!
砂川 裕樹プロダクトマネージャー
Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。
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