直線変位・ストローク測定に最適|Wachendorff(ヴァヘンドルフ) SZGシリーズ ドローワイヤセンサ選定ガイド

2026/07/24

  • Wachendorff

伊藤 慎一

リニアエンコーダの設置が難しい場所、長ストロークの変位量を高精度で測定したい現場
——そうした要求に応えるソリューションが「ドローワイヤセンサ(ワイヤー式変位センサ)」です。
Wachendorff社のSZGシリーズは、Pure LineとRobust Lineの2製品ラインで、測定レンジ1,250mm〜40,000mmという幅広い要求をカバーします。
頑丈なアルミ製または強化プラスチック製ハウジング、ステンレス鋼ワイヤー、そしてインクリメンタル・アブソリュート双方の出力に対応した柔軟な設計は、
建設機械からロボット、産業オートメーションまでさまざまな現場で採用されています。
本記事では、ドローワイヤセンサの基本原理から始まり、SZGシリーズの製品ラインナップ・仕様比較、代表的なアプリケーション事例、
そして最適モデルを選ぶための選定ガイドまでを詳しく解説します。

【目次】

1. ドローワイヤセンサとは? — 計測原理と特長

2. SZGシリーズ — 2つの製品ライン

3. 製品ラインナップと主要仕様

4. アプリケーション事例

5. 他の変位センサとの比較

6. 選定ガイド — 用途・測定レンジ別モデル選定チャート

7. まとめと問い合わせ先

お急ぎの方はこちらから資料ダウンロード

Wachendorff社のSZGシリーズ

資料ダウンロードはこちら

1. ドローワイヤセンサとは? — 計測原理と特長

ドローワイヤセンサは、スプリング内蔵のドラムに巻かれたステンレス鋼ワイヤーを対象物に取り付け、
そのワイヤーの繰り出し長さをロータリーエンコーダで変換することで、直線変位を高精度に計測する測定システムです。

動作原理

対象物が移動するとワイヤーが引き出され、ドラムが回転します。
ドラムに直結したロータリーエンコーダがその回転量をパルス信号(インクリメンタル)または絶対位置信号(アブソリュート)として出力。
対象物が戻ると、スプリングの力でワイヤーが自動的に巻き戻されます。

※ドローワイヤセンサの動作

ドローワイヤセンサが選ばれる理由

設置の自由度が高い:対象物とセンサを同軸上に配置する必要がなく、斜め・側面取り付けも可能
長ストローク対応:1,250mmから最大40,000mmまでの広い測定レンジ
耐環境性:ステンレスワイヤーと頑丈なハウジングにより、粉塵・水・油が混在する過酷な環境でも安定動作
取り付けが簡単:コンパクトな本体とシンプルなワイヤー接続で短時間での導入が可能
エンコーダの柔軟な選択:インクリメンタル(ABR出力)、アブソリュート(EtherCAT、PROFINET,CANopen / SSI等)など多彩なインターフェースに対応

⚠ ケーメックス・オートメーションは、Wachendorff社(ヴァッヘンドルフ)の日本国内総代理店です。製品選定・技術相談はお気軽にお問い合わせください。

2. SZGシリーズ — 2つの製品ライン

Wachendorff社のSZGシリーズは、用途・環境・測定レンジに応じて「Pure Line」と「Robust Line」の2ラインに整理されています。

SZG Pure Line — 小型・軽量・コスト重視

Pure Lineは、強化ガラス繊維プラスチック(GFR-PA)製ハウジングを採用した軽量コンパクトなシリーズです。
重なり巻き(Overlapping Winding)方式により、コンパクトなボディに長いワイヤーを収納することが可能です。
測定レンジは2,400mmから7,500mmをカバーします。

各測定ユニットには基本ドローワイヤメカニズムとエンコーダ取り付けベルが含まれており、
インクリメンタルまたはアブソリュートエンコーダを自由に組み合わせて使用できます。

SZG Robust Line — 過酷環境・長ストローク対応

Robust Lineは、アルマイト処理されたアルミニウム製ハウジングと高精度メカニズムを備えた工業用途向けシリーズです。
層フリー横巻き(Layer-free Lateral Winding)方式の採用により、全測定レンジを通じて高いリニアリティを実現しています。
測定レンジは1,250mmから最大40,000mmまでと非常に広く、クレーン・工作機械・大型産業設備など、Robust Lineが求められる重工業分野で活躍します。
IP65対応エンコーダが標準搭載されているモデルもあり、過酷な設置環境でも安定した性能を発揮します。

※Pure Line

※Robust Line

Pure Line vs Robust Line ー 概要比較

比較項目

Pure Line

Robust Line

ハウジング素材

強化ガラス繊維プラスチック

アルミニウム(アルマイト)

巻き方式

重なり巻き

層フリー横巻き

測定レンジ

2,400 7,500 mm

1,250 40,000 mm

想定用途

軽量・省スペース重視

重工業・長ストローク・高精度

エンコーダ

インクリメンタル / アブソリュート

インクリメンタル / アブソリュート
IP65対応搭載済モデルあり)

ワイヤー素材

ステンレス鋼

ステンレス鋼

3. 製品ラインナップと主要仕様

SZGシリーズの全7モデルの主要仕様を下表にまとめます。

モデル

ライン

測定レンジ

出力形式

ハウジング

特記事項

SZG50

Pure Line

02,400 mm

INC / ABS

GFR-PA

150.75mm/回転

SZG60

Robust Line

01,250 mm

INC / CANopen / SSI

アルミ

IP65搭載済、コンパクト設計

SZG78

Pure Line

03,500 mm / 5,000 mm

INC / ABS

GFR-PA

238mm/回転

SZG95

Robust Line

03,000 mm

INC / ABS

アルミ

200mm/回転

SZG107

Pure Line

07,500 mm

INC / ABS

GFR-PA

333mm/回転

SZG140

Robust Line

05,000 mm

INC / ABS

アルミ

317mm/回転

SZG165

Robust Line

8m / 10m / 20m / 40m

INC / ABS

アルミ

長ストローク特化


※ INC = インクリメンタル、ABS = アブソリュート、GFR-PA = 強化ガラス繊維プラスチック

4. アプリケーション事例

ドローワイヤシセンサは、直線変位の計測が必要なあらゆる産業分野で採用されています。以下に代表的な2つの事例を紹介します。

事例①:移動式クレーンのアウトリガー(スタビライザー)およびブームの位置決め


背景: 移動式クレーンの安定性を確保するためには、アウトリガー(スタビライザー)を柔軟に拡張し、正確に調整する必要がある。

課題: 過酷な環境下で、アウトリガーやブームの位置をいかに正確かつ信頼性高く計測・維持するかという点。

解決策: 高精度な機械構造と信頼性の高い長さ測定が可能なワイヤー式測定システムを採用し、アウトリガーの正確な位置決めを実現している。
       最大40mの測定範囲に対応し、アブソリュートおよびインクリメンタルエンコーダを選択可能。

事例②:AGV/AMR(無人搬送車)の安全・制御システム(AGVソリューション)



背景: AGV/AMRの設計において、省スペースかつ安全な自律走行のためのセンシング技術が重要となっている。 

課題: フォークの高さ位置決め、走行速度に応じた安全制御、および正確な操舵角の計測という3つの技術的要件を同時に満たす必要がある。 

解決策:
高さ検出には、磁気式でありながら高精度なアブソリュートエンコーダ(WDGA 36A)を採用。 
安全速度制御には、磁気式と光学式の独立した機構を搭載した冗長(リダンダント)エンコーダ(WDGR 58B)でハードウェア障害許容度1を確保。 
操舵角計測には、コンパクトな中空軸アブソリュートエンコーダ(WDGA 58E)を活用。 

結果: 共通プロトコル(Universal-IE)への対応も相まって、省スペースかつ安全規格に適合した効率的なAGV開発が可能となった。 

5. 他の変位センサとの比較

直線変位の計測手段はいくつか存在しますが、それぞれに得手不得手があります。

比較項目

ドローワイヤセンサ

リニアエンコーダ(スケール)

超音波センサ

レーザー距離計

長ストローク対応

(〜40m

(〜数m

(〜10m程度)

(〜100m

取り付け自由度

(多方向可)

(軸方向固定)

耐環境性(粉塵・油)

(気流影響あり)

(汚染で精度低下)

計測精度

(高リニアリティ)

設置の容易さ

(位置合わせ必要)

コスト

(中程度)

(高コスト)

(低〜中)

(高コスト)

まとめ:ドローワイヤセンサの立ち位置と選定の指針

ドローワイヤセンサは、「広範囲(長ストローク)をカバーしつつ、
設置の容易さと耐環境性を両立したい現場」において、極めてバランスの良いソリューションです。

ドローワイヤセンサが選ばれる理由
他のセンサと比較した際、以下の点が決定的な強みとなります。

圧倒的な導入ハードルの低さ: 高精度な位置合わせが必要なリニアエンコーダに対し、
                                                                  ドローワイヤセンサはワイヤーを引っ掛けるだけという高い設置自由度と容易さを持ちます。

過酷環境への適応力: レーザーや超音波のように環境条件(粉塵、気流、光の反射など)に精度が左右されにくいため、
                                                 工場や建設現場などの実環境で安定したパフォーマンスを発揮します。

コストパフォーマンス: 長ストローク(数十メートル)を計測しようとした際、リニアエンコーダや高精度レーザー距離計と比較して、
                                                     現実的なコストでシステムを構築可能です。

各センサとの比較・選定の考え方

センサタイプ

最適なアプリケーション例

ドローワイヤセンサ

産業機械、油圧シリンダ、土木・建設の変位計測

リニアエンコーダ

工作機械、半導体製造装置など「ミクロン単位の精度」が必須な環境

超音波センサ

レベル計、液面検知など、非接触かつコストを抑えたい用途

レーザー距離計

広大な空間の距離測定、非接触での長距離計測

結論

精度最優先なら: リニアエンコーダを検討すべきですが、設置コストと工数は覚悟が必要です。
非接触・長距離なら: レーザーや超音波が候補になりますが、周囲の環境対策がボトルネックになります。
総合的な実用性ならドローワイヤセンサが最適解です。特に「大きなストロークが必要」「現場環境が過酷」「設置作業を簡略化したい」という条件が
                                                複数重なるプロジェクトにおいては、最も信頼できる選択肢となります。

6. 選定ガイド — 用途・測定レンジ別モデル選定チャート

以下のフローに従い、最適なSZGモデルを選定してください。

STEP 1|測定レンジを確認する

〜1,250mm → SZG60(Robust Line)
1,250〜2,400mm → SZG60 または SZG50
2,400〜3,500mm → SZG78(Pure Line)またはSZG95(Robust Line)
3,500〜5,000mm → SZG78(5,000mm版)またはSZG140
5,000〜7,500mm → SZG107(Pure Line)
7,500〜40,000mm → SZG165(Robust Line)

STEP 2|出力形式を選ぶ

サーボコントローラ・PLCへのパルス入力 → インクリメンタル(ABR出力)
電源遮断後も位置保持が必要 → アブソリュート(SSI / CANopen)
既存システムがCANopen対応 → SZG60のCANopen版を推奨、他フィールドバスにも対応

STEP 3|設置環境を確認する

軽量・コンパクト・屋内中軽負荷 → Pure Line(SZG50/78/107)
粉塵・水・振動の過酷な環境・屋外 → Robust Line(SZG60/95/140/165)

※ 迷った場合や特殊仕様が必要な場合は、ケーメックス・オートメーションの技術担当までお問い合わせください。
     測定レンジ・設置条件をもとに最適なモデルをご提案します。

7. まとめと問い合わせ先

Wachendorff SZGシリーズのドローワイヤセンサは、広い測定レンジ・高い耐環境性・柔軟なインターフェースを兼ね備えた、直線変位計測の「最適解」です。
Pure Lineは軽量・コンパクト重視の用途に、Robust Lineは過酷な産業環境・長ストロークの要求に応えます。
建設機械からロボット、インフラモニタリングまで、幅広い現場での実績を持つ製品ラインです。
株式会社ケーメックス・オートメーションは、Wachendorff社製品の日本国内総代理店として、
製品選定のご相談・お見積りから技術サポートまで一貫してご対応いたします。

お急ぎの方はこちらから資料ダウンロード

Wachendorff社のSZGシリーズ

資料ダウンロードはこちら

お問い合わせ

伊藤 慎一プロダクトマネージャー

新着記事

戻る