【連載11】いかにして正しいケーブルを選定するか! 工業用ケーブル選びの勘所

2017/09/27

  • LAPP

輸出時に重要! ケーブルにおけるRoHS指令とは何か?

前回までは、ケーブルのUL規格に関する話題を取りあげました。今回も引き続き、重要な規格についてご紹介したいと思います。最近お客様から頻繁にお問い合わせをいただくのが「RoHS指令」と呼ばれるものです。なぜRoHS指令が重要かというと、これも海外への輸出に関係してくるものだからです。

実はRoHS指令は、WEEE指令(廃電気・電子機器の最終処分量を減らすために、機器や部品のリサイクルを推進する要求)と表裏一体の関係にあり、WEEE指令と同時に2003年2月にEU官報において告示されたものです。

RoHS指令は、このWEEE指令による廃電気・電子機器のリサイクルを推進し、最終的に埋立や焼却処分される際に、人や環境に悪影響を与えないように、有害物質を非含有とさせることを目的に制定されたものです。

欧州では、有害物質の電気・電子機器への使用を制限するために、2006年7月1日からRoHS指令が施行されました。対象製品のカテゴリーは以下の通りです。

・大型家庭用電気製品
・小型家庭用電気製品
・IT機器および遠隔通信機器
・民生用機器
・照明機器
・電動工具
・玩具、レジャー、スポーツ機器
・自動販売機

ここで、鉛、水銀、六価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)、カドミウムの6物質が特定有害物質として制限がかかりました。このうちカドミウムを除く5種類のの最大許容濃度(規制値)は0.1wt%(1000ppm)です。またカドミウムのみ0.01wt%(100ppm)になっています。

続いて2011年に改正RoHS指令(2011/65/EU:RoHS2)が施行されました。旧RoHS指令(RoHS1)は2013年1月に廃止され、改正RoHS指令(RoHS2)に置き換わりました。これにより、RoHS1で適用除外だった以下のカテゴリーも新たな対象になり、計11種類に変更になりました。

・医療用機器(医療用機器、体外診断用医療機器)
・監視および制御機器(監視・制御機器、産業用監視・制御機器)
・上記カテゴリに入らないその他の電気・電子機器

また、2015年6月にRoHS2の制限物質を定めた2011/65/EUのAnnexⅡを置き換える(EU)2015/863が公布されました。

そこでDEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)、BBP(フタル酸ブチルベンジル)、DBP(フタル酸ジ-n-ブチル)、DIBP(フタル酸ジイソブチル)の4種類が規制物質として追加され、計10種類の物質に規制がかけられています。 いずれも0.1wt%(1000ppm)が最大許容濃度(規制値)となっています。

お客様に最も関係の深いであろう、産業用監視・制御機器は、2021年7月22日からの適用になります。したがって欧州に輸出する産業用機械は、それまでに適用材料のすべてをRoHS2指令に適合させる必要があります。

新たに追加された規制物質の中で、フタル酸エステル類(DEHP、BBP、DBP、DIBP)は、塩ビ(塩化ビニル、PVC)やゴムに可塑剤として一般的に国内で使用されているものです。したがって、塩化ビニルのケーブルやゴム部品を使用している場合は注意が必要です。

Lapp社製品(カタログ標準品のケーブル、ケーブルグランド、コネクタ類)には、適用除外を除き、RoHS2規制の10物質の規制値以上の含有はありません。詳細につきましては、弊社の営業担当にご相談ください。

なおLAPP製品は、RoHSの記載がカタログ・ホームページに記載はありあせんが、対象品ですのでご安心くださいませ。



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